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北アルプス 縦走 ブログ

北アルプス編⑤(10/10~10/12)

  • 10/10 五竜山荘~唐松岳~不帰剣~白馬鑓ヶ岳~白馬岳頂上宿舎

  • 10/11 白馬岳頂上宿舎~白馬岳~雪倉岳~朝日小屋

  • 10/12 朝日小屋~朝日岳~サワガニ山~犬ヶ岳~白鳥小屋

 10月10日 五竜山荘~唐松岳~不帰剣~白馬鑓ヶ岳~白馬岳頂上宿舎

 

真っ白なガスに包まれた朝、前日から吹き続ける強風に悪戦苦闘しながらテントを撤収。この日は不帰剣を渡る予定でしたが風が強くまっすぐ歩けないほどでだったので、ひとまず唐松岳まで行き、そこで様子をみることにしました。この風で不帰のキレットを歩くのは危険だろう。

 

西風に乗った雲はごうごうと音をたてながら、途切れることなく滑るように稜線を越えていきます。そんな道を黙々と歩くこと2時間弱、唐松岳の小屋に到着。空の様子をうかがいながら一息ついていると、見る間に空が晴れ、風も穏やかに。素晴らしいタイミング!

唐松岳山頂からは不帰キレットの先に白馬の山々、遠く南の方角には富士山、西には雲から頭を覗かせる立山。それまでの曇天が嘘のように素晴らしい眺めを堪能。意気揚々と不帰のキレットに向かいます。

転ばないようゆっくりとキレットを越え、長い長い天狗の大下り(こちらからだと大上り)を登りきると、白馬三山が目の前に。鹿島槍ヶ岳からここまでの荒々しい岩の道とは打って変わって、ハイマツや枯草に彩られたなだらかな斜面が広がっていました。

そしてここで2羽のライチョウに遭遇。足元から冬支度をしていくのだろうか、身体の下半分が白くなっている。冬羽に変わりつつあるまるまると太った身体が愛らしい。

 

白馬鑓ヶ岳、杓子岳を越えて白馬岳頂上宿舎に到着。テントを設営し夕日を拝みに丸山へ。素晴らしい眺めだ。

 

つい数時間前には目の前に見えていたはずの剣岳がいつの間にか遠くに見え、そこから北に延びる尾根は緩やかに高度を落として雲の中に沈んでいました。厚い雲に隠れて目にはできませんが、その尾根の先には富山湾があるはず。

どこまでも連なっているように思えた大きな北アルプスも、そろそろ日本海へ向けて着陸態勢に入ったようです。

海が近付いているからだろうか、いつも以上に空が広く感じられ、空一面に滲むようにひろがる夕日の美しさに圧倒されるのでした。

 

 10月11日 白馬岳頂上宿舎~白馬岳~雪倉岳~朝日小屋

 

白馬岳頂上宿舎から朝日小屋まで歩いたこの日。気が付けばゴールまでこの日を含めて残り3日。この日も美しい風景に心躍らせながら楽しく歩いていきます。

 

テント場から数分で白馬岳山頂に到着。展望は素晴らしいが吹き付ける風が冷たい!痛い!たまらず駒ヶ根で買っておいたゴム手袋(オカモトのマリーゴールド)を装着。抜群の装着感でございます。

北へと向かう稜線は、白く眩しい岩と緑のハイマツのコントラストが美しく、雪倉岳手前には均整のとれた鉢ヶ岳の姿。たまりません。

鉢ヶ岳の先の鞍部一帯には緑色の石が広がっていました。あれは何なのだろう…。

はじめて出会う草花や鳥、珍しい色や形をした石。山の中、自然の中には不思議がいっぱいで、そんな不思議に出会う度に感動し胸が高鳴ります。

 

標高2610mの雪倉岳を越えると、一気に標高を600mほど下げて朝日小屋へと向かう水平道に入ります。標高が下がり久しぶりの樹林帯ウォーク。

見事に紅葉した木々、足元に重なる落葉の彩り、湿原を流れる冷たく澄んだ水…。

 

朝日小屋の可愛らしい赤い屋根を目指して、木々の間を縫って歩きます。

途中の沢で水分補給&水浴び。こうして美しい沢の冷たい水を口にし、顔を洗うときの気持ち良さと言ったら…!2~3日ぶりの水浴びで心身ともにリフレッシュ!生き返るような心地です。

清々しい気分で朝日小屋に到着。テントをたて、あたりを散策しながらイチゴやクロマメノキの実をぽりぽり食べていると、とっても元気で親切なお姉さまに遭遇。

太平洋から歩いてきていると言うと、一緒に来られているみなさんを巻き込んで、おにぎりやお寿司、お酒などなど、たくさんの差し入れを下さいました。なんて優しい方々だろう!ありがとうございます。(このHさん御一行にはこの先も大変お世話になりました。)

さらに、13日の小屋閉めが近付き食料を使い切らなければならないからか、朝日小屋の方が小屋泊のお客さんだけでなく、テント泊者にもホタルイカの沖漬けを振る舞って下さいました。小屋閉めのタイミングは、狙い目やな...。

お寿司に酒にホタルイカ。これまでにない豪勢なディナーを一人テントで楽しみ、ほろ酔い気分で寝袋にもぐりこみました。

 

 10月12日 朝日小屋~朝日岳~サワガニ山~犬ヶ岳~白鳥小屋

 

この日は朝日小屋から栂海新道で白鳥小屋へと向かう比較的行程の長い一日だったので日の出前から行動開始。朝日岳へ登ります。

振り返れば富山市街の街明かりがすぐ近くに見えます。

海が、街が、いよいよ間近に迫っている。ゴールの親不知も、もうすぐ。

 

朝日岳山頂で日の出を拝んで北上、栂海新道に入ります。

栂海新道はよく整備されたとても美しいトレイルでした。多くの植物が共存する湿原や笹の間を抜けていく尾根道、鮮やかな紅葉。そしてトレイルのどこからでも日本海を眺めることができました。太平洋から出発して41日目、いよいよ反対側の海までやってきたんだなと実感します。

 

道は美しいのですが、アップダウンを繰り返す尾根歩きはなかなかハードです。

道中、ウサギのものと思われる毛の塊が血痕とともに散乱しているのを発見。一体何に食われたのだろうか。

この山の中に多くの動植物が暮らし、それぞれが生命を繋ぐために必死に生きているのだという当たり前のことを改めて肌で感じます。

 

犬ヶ岳を通り過ぎて標高を下げるとガラリと植生も変わり、気が付けば辺りはブナの森。黄葉した明るいブナの森を抜ける風を感じながら、木にもたれてひと休み。沢で汲んだ冷たい水で渇きを癒します。ああ幸せ。

10時間ほど歩いて白鳥小屋に到着。

前日に朝日小屋で出会い親切にしてくださったHさん一行ほか、朝日小屋から親不知を目指して歩いてきている方々と意気投合し、夕方からは10人ほどでの宴が始まりました。

 

それぞれ別々にではありますが、朝日小屋から白鳥小屋までの道のりを歩いてきた仲間、翌日には日本海を目指して同じ道を行く仲間、自然を愛する仲間。そんな同じ思いを共有する仲間同士で囲む食卓はとても温かく、親密な空気で小屋が満たされていました。なんて楽しい夜だろう。

 

旅の最後にこんな素晴らしい夜を過ごすことができ、心から幸せを感じました。

すべての出会いに、感謝です。

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