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北アルプス 縦走 ブログ

【2015年10月13~14日 八ヶ岳・阿弥陀岳南稜】

 10月13日 舟山十字路~立場山~阿弥陀岳~行者小屋

 

先輩に連れられ、はじめてのバリエーションルートである阿弥陀岳南稜へ。

 

高速道路の工事渋滞の影響もあり、10時過ぎに舟山十字路に到着。そそくさと準備を整え出発するも、いきなり道を間違える。

駐車場から南方向に歩きだすべきところを、まっすぐ伸びた歩きやすい道につられて東へと進んでしまいました。(こちらの道でも行けるのですが、今回は広河原を経由していく予定にしていたので。)

 

しばらくして道を間違えたようだと気づき、戻ろうかと話していると1匹のワンちゃんが現れました。

 

ワンちゃんは私たちの足元にやってくるとクンクンのどを鳴らし、駐車場の方向へと促してくるので、ワンちゃんに連れられるまま来た道を戻りました。途中で私たちが立ち止まったりすると、すぐさまこちらを振り返り、「こっちだよ」と訴えるような目で見てきます。

導かれるように駐車場に帰り着くと、ワンちゃんはさっそうと姿を消していきました。

 

数分間の不思議な体験。首に発信機のようなものをつけていたので訓練された猟犬?なのかもしれませんが、道を教えてくれてありがとう、ワンちゃん。

気を取り直して舟山十字路から再出発。紅葉した木々の下をくぐりながら林道を進むこと約30分、広河原に到着。川を渡って立場山に取り付きます。獣道と人の踏み跡とが交わる道のわかりにくい急坂です。

尾根に出てからは、山頂へと続く尾根道を黙々と歩いていきます。紅葉した木々と足元に厚く重なる苔の緑が美しい。しっとりとした優しい森。

広河原から2時間ほどで立場山山頂に到着。

一服して再び歩き始めると突然視界が開け、目指す阿弥陀岳と権現岳の大きな姿が目に飛び込んできました。とにかく、でかい。そのものすごい存在感にしばし茫然。

 

阿弥陀岳南稜のごつごつとした輪郭に心が躍ります。あそこを登るのか!

阿弥陀岳南稜P1前の鞍部でヘルメットやハーネスを装着し、いよいよ本番。

冷たい西風が強く吹き付けるなか、P1、P2を越えてP3に取り付きます。P3は左に巻くこともできますが今回私たちはここを直登。まずは先輩に登ってもらいます。

 

ビレイの間にも強く吹き付ける風。寒い。

時折、岩に張り付いていた氷の破片が風に乗って飛んできます。痛い。

 

先輩に続いて1ピッチ目を登ります。はじめに少し緊張する箇所がありましたがそれを越えればそう難しくはありません。2ピッチ目は私がリード。ここも難しくはありません。終了点のピトンを使って支点を作り、先輩をビレイします。

冷たい風が吹き続けるなか立ち止まっていたため体温はみるみる低下。身体をガクガク震わせながら先輩の登ってくるのを待ちました。

ビレイをしていたこのわずかな時間で瞬く間に体力を消耗してしまい、暖かくして体を守ることの大切さを身に染みて感じました。

 

P3を無事通過して、最後のP4を越えると阿弥陀岳山頂です。山頂到着は17時前。舟山十字路から約6時間でした。

 

これまでは東から登るものだと思っていた阿弥陀岳に、南から登るというのはなんだか不思議なもので、以前に登った阿弥陀岳とは全く別の山に来たような感覚でした。同じ山でも、時期やルートなど、条件が変われば全く違った趣きを感じられるのは楽しいですね。

この日は行者小屋にてテント泊。風もなく穏やかなテント場で、満天の星空を見上げながら眠りにつきました...。

 

 10月14日 行者小屋~権現岳~編笠山~西岳~舟山十字路

 

二日目は権現岳、編笠山、西岳を巡って舟山十字路へ。

 

朝5時過ぎから行動開始。木々に守られ小屋近くは風も穏やか。

文三郎尾根で赤岳へと登っていきます。時間を追うごとに夜空の濃藍が西へ西へと追いやられ、朝のみずみずしい色彩が東から広がっていきます。朝日に照らされ阿弥陀岳の稜線もまぶしく輝いていました。

権現岳を越え編笠山直下の青年小屋に到着、荷物を置いて山頂へ。まるく開けた山頂からは大展望。目の前には南アルプス。北岳には雪が付いているようです。

 

青年小屋に戻り、西岳に向けて再出発。西岳への道は苔に覆われた美しい針葉樹の森。シラビソだろうか、マツ科の木特有の甘い香りが森に充満していて心も満たされます。

西岳を越えると森の印象もガラッと変わります。

こちら側は黄葉したカラマツや、ミズナラ、ナナカマドの森。暖かな日の光を受けた明るい森を気持ちよく歩いていきます。

足元の笹をかき分けながら、その明るい森を下ってゴールの舟山十字路へ。この下りが結構長い。そして舟山十字路への分岐がちょっとわかりずらい。おかげで少々道に迷いましたが、無事に帰還。

駐車場近くの水場の美味しいお水をお土産に、山の余韻に浸りながら家路につきました。

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