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中央アルプス 縦走 ブログ

中央/御嶽/乗鞍編④(9/26~9/27)

  • 9/26 野麦峠オートキャンプ場~奈川温泉~乗鞍高原一ノ瀬キャンプ場

  • 9/27 一ノ瀬キャンプ場~乗鞍岳~一ノ瀬キャンプ場

 9月26日 野麦峠オートキャンプ場~奈川温泉~乗鞍高原一ノ瀬キャンプ場

 

THE台風一過というような素晴らしい秋晴れの朝、さっさとテントを片付け出発します。乗鞍高原へ残すところ約30km。楽勝だ!天気がいいと気分も晴れ晴れ。

 

朝もやのなか、美しい奈川に沿って歩いていきます。川の音が耳に優しい。

 

そんな流れの音に包まれながら釣りをしているおじいちゃんを発見。朝6時ごろだったでしょうか。家のすぐそばにこんなきれいな川があり、朝から釣りができるなんて最高に贅沢だ。その姿をぼんやり眺めていると、なんとも言えないいい香りが漂ってきました。匂いの先に目をやると、家の煙突からもくもくと立ちのぼる煙が見えました。

薪を焚いて朝ごはんの準備でもしているのでしょうか。朝もやに紛れていくその煙のほろ苦い香りに、この地に暮らす人々の温かい日常を見たような気がして、ちょっと幸せな気分になりました。

 

自然と共存し、家に火のある暮らし。必ずや自分も、そんな暮らしをしよう。

奈川温泉から上高地乗鞍スーパー林道に入ります。乗鞍高原まであと15kmほど。

スーパー林道という名前から、一体どんな道路なのかとドキドキしていましたが、何のことはない、ただの林道でした。すんばらしい青空を仰ぎ見ながら登って行きます。

 

登りきったところは白樺峠。奈川~乗鞍間のちょうど中間地点で、この時期には北から南へと渡っていく鷹や鷲を見ることができるとのこと。それは是非とも見なければ、ということで展望台へ寄り道することに。

 

紅葉の白樺林を抜けた先に待っていたのは感動の大展望!

大きく開けたなだらかな斜面では50人以上の方が望遠鏡やカメラを片手に空を見上げていました。暖かい日差しの下、みんなが一緒になって空を見ているその光景が、あまりに平和的で心がほっこり。私も草の上に寝転び、空を見上げました。

のんびりと流れるやさしい時間。穏やかな風と草木の匂いに、眠気を誘われます...。

 

私の隣には、明らかにほかの見物客とは違う空気を身にまとったおじさんが。

しばらく待っていると、彼が「あ、来るよ」と小さくつぶやき遠く北の方角を指さしました。その先にあるのは白い雲だけ。

いやいや、何も飛んでないですよ。適当なことを言っちゃ困るよ。なんて思った数十秒後、頭上を大きな鳥が通り過ぎていきました。このおじさん、本物やで。

しばらくするとまた、「来るよ」とつぶやくおじさん。しかし私には何も見えない…。おじさんの指さす方向を、目を皿にして探すこと数秒、小さな黒い影を発見。シャープペンシルで「つん」と軽く突いて書いたような影を見つけてしまう視力に驚愕。その数十秒後、点のように見えていたその鳥も優雅に頭上を越えていきました。

タカ見物を楽しんで再出発。

林道を下ること約1時間半、乗鞍高原に到着。到着するやいなや、その紅葉の美しさに圧倒されました。なんて美しいんだ!!9月も終盤になり、どうやら紅葉は見頃を迎えているよう。このタイミングでやって来れた幸運に感謝です。

一ノ瀬キャンプ場へ向かうがなぜか無人。営業期間外なのか、水道も使えないので沢の水を汲んで使うことに。美味い。豊かな水、ありがとう。

きれいに整備されたキャンプ場を独り占め。白樺に囲まれた素晴らしい環境でテントを張り、就寝。

 

やっと明日、乗鞍岳に登ることができる。まさか60kmも迂回して来ることになるとは思いもしませんでしたが、そのおかげで朝には美しい里の風景を見ることができたし、鷹の渡りを見ることもできました。予定通り行かないことも多いですが、結局どの道を行っても楽しいものです。

 9月27日 一ノ瀬キャンプ場~乗鞍岳~一ノ瀬キャンプ場

 

この日は乗鞍岳へピストン。テント内に不要な荷物を置いていくので身体が軽い軽い。標高1500mほどの一ノ瀬キャンプ場は雲の中。もやに包まれた日の出前の暗い森を歩いていきます。

 

もやの中では全ての色がぼんやり滲んで見えて、秋の草木の赤や黄色、苔の緑などがいつもと違った印象を与えてくれます。とっても幻想的。景色がきれいで荷物も軽いのでサクサク足が進みます。

幻想的な森の中、深い青色のザ・清流というような川に沿って登って行くと、日本の滝100選にも選ばれている三本滝に到着。これが圧巻の迫力。全く表情の異なる3本の滝がずどんと目の前に落ちてくる。ん~感動。

もやに包まれた森林ウォークを楽しむこと数時間、突如視界が明るくなりました。

どうやら雲の高さを超えたようで、それまでもやで滲んで見えていた世界が、一気に鮮やかさを増して目に飛び込んできました。まるで曇ったガラス窓を拭いた時のように、瞬く間に全てがはっきりと見えるようになったのです。そうして現れた鮮やかな木々の美しかったこと…。思わず足が止まり、茫然と眺めていました。

そしてふと後ろを振り返ると、そこにはどこまでも広がる一面の雲海!!目の前にはどでかい北アルプス!ずっと先には八ヶ岳!頭上に広がる真っ青な空、白い雲海、黄や赤の紅葉、緑の針葉樹。色が多すぎて、脳みそも大忙し。

大黒岳、富士見岳と登り、乗鞍岳剣ヶ峰へ。

雪渓を滑るスキーヤーを発見。9月末にもなり、ほとんど溶けてしまってネコの額ほどの広さしかないゲレンデですが、味わい尽くすように楽しんでおられました。どんだけ好っきゃねん♪

 

疲労と人があまりに多かったこともあって、さっさと剣ヶ峰に行って下山。へとへとになって一ノ瀬キャンプ場まで帰りました。なんでこんなにしんどいのかと不思議だったのですが、よくよく考えれば、標高1500mのキャンプ場から3025mの乗鞍岳に登り、さらに下ってきたわけですから、疲れて当然ですね。1500mのアップダウンって5合目から富士山に登って帰るのと変わりませんものね。

 

テントに戻り携帯の電源を入れると数通のメールが。そのメールでこの日御嶽山が噴火したことを知りました。まさか4日前に登った山が噴火し、しかもこんな大きな被害になるなんて。亡くなった方々のご冥福を祈るとともに、すぐにまたあの美しい山に登れる日が来ることを願います…。

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